あこがれの学校をめざした先輩たちが、長い道のりを乗りこえて入試を終えました。新型コロナウイルスの影響と向き合いながら努力を重ねた日々について、首都圏の難関校に合格した受験生と、それぞれの家族に聞きました。
※取材はマスクを着用しておこなわれました。
※この記事は、2023年2月28日の朝日小学生新聞に掲載されたものです。
※取材はマスクを着用しておこなわれました。
※この記事は、2023年2月28日の朝日小学生新聞に掲載されたものです。
2023年度啓明館 合格者座談会 出席生徒・保護者の方
開成中学校 合格
松本理仁さん (母)里美さん
吉祥女子中学校 合格
生地梨紗さん (母)裕子さん
雙葉中学校 合格
池田葵さん (母)佳奈さん
松本理仁さん (母)里美さん
吉祥女子中学校 合格
生地梨紗さん (母)裕子さん
雙葉中学校 合格
池田葵さん (母)佳奈さん
新聞に掲載しきれなかったインタビュー映像
入試を振り返って
入試当日と、合格発表を確認したときのようすや感想を教えてください。
池田葵さん:
雙葉中の入試の朝は自分が緊張していることに気がつきました。知識事項を確認したりして、気持ちを落ち着けるように心がけました。
合格発表はオンラインでおこなわれ、翌日の午前8時からでした。このときも入試当日の朝のように緊張しましたが、勢いをつけて自分で「えい!」と画面のボタンを押すと「合格」の文字が出てきました。私はうれしさのあまりとび上がってしまいました。
池田さん(母):
娘にとって雙葉中はチャレンジ校の位置づけでした。いっしょに合格を確認したとき、私はなかなか信じられず、何度も番号を見直しました。そのあとに2人で喜び、夫がいる部屋まで走っていき、結果を伝えました。
生地梨紗さん:
吉祥女子中の入試会場には、父が運転する車で母と3人で向かいました。試験の「でき」には手ごたえを感じましたが、それは自分の胸にしまっておきました。
試験当日の午後8時半過ぎに、オンラインで合格を確認しました。パソコンの画面のボタンを押すと、たくさんの受験番号が出てきて、私の視線の先に自分の番号があったんです。思わず「やった!」とさけび、泣いてしまいました。
生地さん(母):
発表の直前まで翌日に受験する併願校の準備をしていました。入試は最後の日程まで走り抜くつもりだったからです。私は何度も受験番号を見直し、心から「よかった」と思いました。
松本理仁さん:
開成中の入試当日、朝はふつうに過ごし、母と会場に向かいました。試験では苦手意識があった国語がうまくいったような気がして、うれしかったです。
合格は、2日後にあった併願校の試験のあと、帰宅する途中の公園で母のスマホで確認しました。
松本さん(母):
学校が休みだった中2の兄も併願校への迎えにつき添ってくれました。本人は感情をおもてに出さないタイプですが、自分の番号を見つけると「あったよー」とうれしそうにスマホを見せてくれました。3人で喜び、急いで夫にメールを送りました。
池田葵さん:
雙葉中の入試の朝は自分が緊張していることに気がつきました。知識事項を確認したりして、気持ちを落ち着けるように心がけました。
合格発表はオンラインでおこなわれ、翌日の午前8時からでした。このときも入試当日の朝のように緊張しましたが、勢いをつけて自分で「えい!」と画面のボタンを押すと「合格」の文字が出てきました。私はうれしさのあまりとび上がってしまいました。
池田さん(母):
娘にとって雙葉中はチャレンジ校の位置づけでした。いっしょに合格を確認したとき、私はなかなか信じられず、何度も番号を見直しました。そのあとに2人で喜び、夫がいる部屋まで走っていき、結果を伝えました。
生地梨紗さん:
吉祥女子中の入試会場には、父が運転する車で母と3人で向かいました。試験の「でき」には手ごたえを感じましたが、それは自分の胸にしまっておきました。
試験当日の午後8時半過ぎに、オンラインで合格を確認しました。パソコンの画面のボタンを押すと、たくさんの受験番号が出てきて、私の視線の先に自分の番号があったんです。思わず「やった!」とさけび、泣いてしまいました。
生地さん(母):
発表の直前まで翌日に受験する併願校の準備をしていました。入試は最後の日程まで走り抜くつもりだったからです。私は何度も受験番号を見直し、心から「よかった」と思いました。
松本理仁さん:
開成中の入試当日、朝はふつうに過ごし、母と会場に向かいました。試験では苦手意識があった国語がうまくいったような気がして、うれしかったです。
合格は、2日後にあった併願校の試験のあと、帰宅する途中の公園で母のスマホで確認しました。
松本さん(母):
学校が休みだった中2の兄も併願校への迎えにつき添ってくれました。本人は感情をおもてに出さないタイプですが、自分の番号を見つけると「あったよー」とうれしそうにスマホを見せてくれました。3人で喜び、急いで夫にメールを送りました。
志望校を決めるまで
第1志望校はどのようにして決めましたか。
葵さん:
雙葉中を第1志望校に決めたのは6年生の秋に文化祭へいったときでした。それまでは「女子校がいいな」とぼんやり考えていましたが、文化祭を見学しながら気持ちが一気にかたまりました。在校生が楽しそうに活動していて「この学校に入りたい」と思いました。
池田さん(母):
文化祭の申し込みでは大変な思いをしました。新型コロナウイルス対策で制限があったり、娘の体調がよくなかったりして何度も機会をのがしていました。ようやく参加できた雙葉中では、娘の高揚する気持ちが伝わってきました。本人から「どんな結果でも受け止める」という決意を聞き、家族も雙葉中の受験を応援することに決めました。
梨紗さん:
吉祥女子中に関心をもったのは塾の催しなどで在校生の話を聞いたことがきっかけです。「文化祭は生徒がつくりあげ、全力で楽しむよ」と教えてもらい、いい学校だと思いました。学校見学会にも参加し、6年生の秋ごろに第1志望校に決めました。
生地さん(母):
学校見学会で文化祭をテーマにした動画を見て、娘はとても感激していました。その体験が「この学校の一員になりたい」という気持ちを後押ししたようです。もともと行事や委員会活動などに全力で取り組むタイプなので、吉祥女子中なら充実した学校生活を送れると家族も確信しました。
理仁さん:
開成中を第1志望校として受験することに決めたのは、入試の5日前です。開成中と同じ入試の日には別の志望校にも出願していて、どちらを受けるか、ぎりぎりまで考えようと思っていました。
1月の下旬に、この2校とは別の中学に合格したことから「高い目標をめざし、もし届かなければ合格した中学に進もう」と考え、高い目標にあたる開成中を受験することにしました。
松本さん(母):
第1志望校がなかなか決まらないことにはやきもきしましたが、本人の意思を尊重して待ちました。受験と向き合う息子を見て感じたのは「勉強そのものが好きで学校に対するこだわりがない」ということでした。親としては自分で決めた中学で学校生活を送ってほしいと願っており、開成中を選んだ息子に対して、夫は「自分で決められたことが、よかったね」と声をかけていました。
葵さん:
雙葉中を第1志望校に決めたのは6年生の秋に文化祭へいったときでした。それまでは「女子校がいいな」とぼんやり考えていましたが、文化祭を見学しながら気持ちが一気にかたまりました。在校生が楽しそうに活動していて「この学校に入りたい」と思いました。
池田さん(母):
文化祭の申し込みでは大変な思いをしました。新型コロナウイルス対策で制限があったり、娘の体調がよくなかったりして何度も機会をのがしていました。ようやく参加できた雙葉中では、娘の高揚する気持ちが伝わってきました。本人から「どんな結果でも受け止める」という決意を聞き、家族も雙葉中の受験を応援することに決めました。
梨紗さん:
吉祥女子中に関心をもったのは塾の催しなどで在校生の話を聞いたことがきっかけです。「文化祭は生徒がつくりあげ、全力で楽しむよ」と教えてもらい、いい学校だと思いました。学校見学会にも参加し、6年生の秋ごろに第1志望校に決めました。
生地さん(母):
学校見学会で文化祭をテーマにした動画を見て、娘はとても感激していました。その体験が「この学校の一員になりたい」という気持ちを後押ししたようです。もともと行事や委員会活動などに全力で取り組むタイプなので、吉祥女子中なら充実した学校生活を送れると家族も確信しました。
理仁さん:
開成中を第1志望校として受験することに決めたのは、入試の5日前です。開成中と同じ入試の日には別の志望校にも出願していて、どちらを受けるか、ぎりぎりまで考えようと思っていました。
1月の下旬に、この2校とは別の中学に合格したことから「高い目標をめざし、もし届かなければ合格した中学に進もう」と考え、高い目標にあたる開成中を受験することにしました。
松本さん(母):
第1志望校がなかなか決まらないことにはやきもきしましたが、本人の意思を尊重して待ちました。受験と向き合う息子を見て感じたのは「勉強そのものが好きで学校に対するこだわりがない」ということでした。親としては自分で決めた中学で学校生活を送ってほしいと願っており、開成中を選んだ息子に対して、夫は「自分で決められたことが、よかったね」と声をかけていました。
家族のかかわり方は
家族はどのようなかかわり方をしましたか。
松本さん(母):
私は精神的な面でのケアを大切に考えていました。とくに息子が苦手な勉強に取り組み、イライラしてしまうようなときです。中学受験に挑戦するとはいえ、まだ小学生ですから、気持ちを安定させるフォローは必要だと思いました。息子の好きな食べ物を用意したり、勉強の合間にアニメやまんがを楽しむことを提案したり……。息抜きの時間は学習の効率を上げることにも役立ったようでした。
理仁には兄のほかに6歳の妹がいます。休みの日に理仁が静かに勉強できるよう、夫が妹を公園に連れ出していました。
理仁さん:
家族はぼくが集中して勉強できるように気をつかってくれました。ありがたかったです。
池田さん(母):
受験勉強を始めた4年生のころは新型コロナ対策で外出をひかえることが多い時期でした。家で1日を過ごすとなると、どうしても時間の使い方がゆるくなりがちでした。私は娘といっしょに、スケジュール表をつくることにしました。
起床から就寝の時間までを1時間単位で区切り、「この時間に、これをしよう」という計画を書き入れて実行する取り組みです。中3の姉が受験したとき、直前期に取り入れた方法で、とても効果を感じたので葵には本番までの3年間、毎日おこないました。
葵さん:
自分でやりたいこともスケジュールに入れることができました。おかげで毎日を有意義に過ごせたと思います。
生地さん(母):
いちばん大事にしていたのはコミュニケーションです。娘がなにを考えているか、どういう気持ちでいるのか、いつも知りたいと思っていました。比較的、時間に余裕があったころは、夫と小2の弟の家族4人で休日に海辺の街まで半日のドライブを楽しみ、自然のなかでいろいろなことを話しました。
6年生の後半になっても娘と近所を散歩しながら語り合いました。この姿勢は夫とのあいだでも共有し、娘が受験する意味について何度も夫婦で話しました。
梨紗さん:
母は私をはげましてくれたので、それが大きな支えになりました。ドライブや散歩も息抜きになり楽しかったです。
松本さん(母):
私は精神的な面でのケアを大切に考えていました。とくに息子が苦手な勉強に取り組み、イライラしてしまうようなときです。中学受験に挑戦するとはいえ、まだ小学生ですから、気持ちを安定させるフォローは必要だと思いました。息子の好きな食べ物を用意したり、勉強の合間にアニメやまんがを楽しむことを提案したり……。息抜きの時間は学習の効率を上げることにも役立ったようでした。
理仁には兄のほかに6歳の妹がいます。休みの日に理仁が静かに勉強できるよう、夫が妹を公園に連れ出していました。
理仁さん:
家族はぼくが集中して勉強できるように気をつかってくれました。ありがたかったです。
池田さん(母):
受験勉強を始めた4年生のころは新型コロナ対策で外出をひかえることが多い時期でした。家で1日を過ごすとなると、どうしても時間の使い方がゆるくなりがちでした。私は娘といっしょに、スケジュール表をつくることにしました。
起床から就寝の時間までを1時間単位で区切り、「この時間に、これをしよう」という計画を書き入れて実行する取り組みです。中3の姉が受験したとき、直前期に取り入れた方法で、とても効果を感じたので葵には本番までの3年間、毎日おこないました。
葵さん:
自分でやりたいこともスケジュールに入れることができました。おかげで毎日を有意義に過ごせたと思います。
生地さん(母):
いちばん大事にしていたのはコミュニケーションです。娘がなにを考えているか、どういう気持ちでいるのか、いつも知りたいと思っていました。比較的、時間に余裕があったころは、夫と小2の弟の家族4人で休日に海辺の街まで半日のドライブを楽しみ、自然のなかでいろいろなことを話しました。
6年生の後半になっても娘と近所を散歩しながら語り合いました。この姿勢は夫とのあいだでも共有し、娘が受験する意味について何度も夫婦で話しました。
梨紗さん:
母は私をはげましてくれたので、それが大きな支えになりました。ドライブや散歩も息抜きになり楽しかったです。
効果的な学習法を紹介
受験勉強をつづけるなかで、工夫したことや効果を実感したことはありますか。
梨紗さん:
算数のミスを減らす対策を考えました。私は数字を雑に書いて計算をまちがえることがあったので、まず数字をていねいに書くように心がけました。ていねいに計算することや、問題文をしっかりと読むことにも気をつけました。
葵さん:
6年生の秋ごろ、塾で算数の先生に質問することを禁止されました。わからない問題を自分で考える前に、先生に質問していたからです。それからは「まず自分で考える」とルールを決めて取り組みました。冬期講習のころになると、まちがえた問題の解き直しも1回でできるようになり、効果があったのではと思います。
理仁さん:
算数は、塾の先生のいうことにしたがって、ノートをまったくとらずに授業を聞きました。説明も公式も全力で聞いておぼえ、帰宅してから復習しました。4年生からずっとつづけましたが、すごく効果がある学習法だと実感しています。
梨紗さん:
算数のミスを減らす対策を考えました。私は数字を雑に書いて計算をまちがえることがあったので、まず数字をていねいに書くように心がけました。ていねいに計算することや、問題文をしっかりと読むことにも気をつけました。
葵さん:
6年生の秋ごろ、塾で算数の先生に質問することを禁止されました。わからない問題を自分で考える前に、先生に質問していたからです。それからは「まず自分で考える」とルールを決めて取り組みました。冬期講習のころになると、まちがえた問題の解き直しも1回でできるようになり、効果があったのではと思います。
理仁さん:
算数は、塾の先生のいうことにしたがって、ノートをまったくとらずに授業を聞きました。説明も公式も全力で聞いておぼえ、帰宅してから復習しました。4年生からずっとつづけましたが、すごく効果がある学習法だと実感しています。
「次」の受験生たちへ
2024年度以降の入試に臨むみなさんに向け、メッセージやアドバイスをお願いします。
葵さん:
まず自分で考えて、一問一問を大切に解いてください。私は自分の経験から、その大切さを実感しています。塾の授業はその日のうちに復習し、一つずつ知識を自分のものにすることも大事です。
梨紗さん:
やる気がわかないときは、具体的な目標はなにかを考えてみてください。私は志望校にいきたい理由がはっきりしたことで、自然とやる気が出てきました。
理仁さん:
ぼくは最後の試験の日が終わるまで力がつくと信じ、努力しようとがんばりました。新6年生も最後まであきらめずにがんばってください。
池田さん(母):
姉妹の受験を通して感じたのは、基礎的な学習をコツコツとつづけるのが重要だということです。葵は本番の直前でも追い込みのスイッチが入らないという状態でしたが、基礎を積み重ねる習慣が身についていました。それが土台になって、合格という大きな成果を生んだように思っています。
生地さん(母):
「本人がいまできることに精いっぱい取り組めば、どんな結果になったとしても取り組んだことが財産になる」。わが家ではこのような考えを娘に伝え、受験を応援していました。家族がたがいに理解し合うことは、受験を乗りこえるうえでも大事です。コミュニケーションを深めながら支えてほしいと思います。
松本さん(母):
受験は長い道のりです。受験生自身がいちばん大変でしょうが、私は「親や家族が元気でいること」も大切だと感じています。保護者のみなさんは、おいしいものを食べたり、自分の時間を大切にしたりすることも忘れないように。そのうえで元気に受験生を応援してください。
葵さん:
まず自分で考えて、一問一問を大切に解いてください。私は自分の経験から、その大切さを実感しています。塾の授業はその日のうちに復習し、一つずつ知識を自分のものにすることも大事です。
梨紗さん:
やる気がわかないときは、具体的な目標はなにかを考えてみてください。私は志望校にいきたい理由がはっきりしたことで、自然とやる気が出てきました。
理仁さん:
ぼくは最後の試験の日が終わるまで力がつくと信じ、努力しようとがんばりました。新6年生も最後まであきらめずにがんばってください。
池田さん(母):
姉妹の受験を通して感じたのは、基礎的な学習をコツコツとつづけるのが重要だということです。葵は本番の直前でも追い込みのスイッチが入らないという状態でしたが、基礎を積み重ねる習慣が身についていました。それが土台になって、合格という大きな成果を生んだように思っています。
生地さん(母):
「本人がいまできることに精いっぱい取り組めば、どんな結果になったとしても取り組んだことが財産になる」。わが家ではこのような考えを娘に伝え、受験を応援していました。家族がたがいに理解し合うことは、受験を乗りこえるうえでも大事です。コミュニケーションを深めながら支えてほしいと思います。
松本さん(母):
受験は長い道のりです。受験生自身がいちばん大変でしょうが、私は「親や家族が元気でいること」も大切だと感じています。保護者のみなさんは、おいしいものを食べたり、自分の時間を大切にしたりすることも忘れないように。そのうえで元気に受験生を応援してください。