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2025年度合格者座談会



受験と向き合い、努力を重ねつづけてきたみなさんが笑顔の春をむかえました。めざしてきた「合格」を手にするまで、受験生はどのような取り組みに臨み、まわりの家族はどのように寄り添ったのでしょうか。首都圏の難関中学に合格した3人と、それぞれの家族のみなさんに聞きました。
※この記事は、2025年2月28日の朝日小学生新聞に掲載されたものです。

2025年度啓明館 合格者座談会 出席生徒・保護者の方

開成中学校 合格
浅見 航樹さん (母)美穂さん

吉祥女子中学校 合格
桐澤 美緒さん (母)綾子さん

聖光学院中学校 合格
青木 希さん (母)ゆき子さん

入試を振り返って

入試当日や合格発表について、それぞれのようすや感想などを教えてください。

青木 希さん:
聖光学院中学に合格したのは、2回目の入試でした。1回目も手ごたえを感じたのですが、見直しがあまかったのかもしれません。少しショックだったけれど気持ちをすぐに切りかえて「次はがんばるぞ」という気持ちで2回目に臨みました。

青木さん(母):
息子が「リベンジ」したときはうれしかったです。わが家は二世帯住宅の6人家族。合格発表は試験の次の日の午前9時からで、リビングに家族全員が集まり、夫がスマートフォンで確認しました。1回目の経験があったので、私の意識は画面がピンク色(合格)かどうかに集中していました。ピンク色の画面が目に入ったときは狂喜乱舞というくらいに騒いでしまいました。

希さん:
ぼくより母のほうが喜んでいました。ぼくも合格を実感できてうれしかったです。

桐澤美緒さん:
吉祥女子中学の入試会場には両親と車で向かいました。緊張しましたが、自信もあって「全力を出せたらいいな」と考えていました。本番では直前まで確認していたところや得意な問題が出たのでうれしかったです。

桐澤さん(母):
娘の表情をみて安心しましたが、帰宅後はいつもの受験生活にもどりました。翌日に同じ吉祥女子中学の2回目の入試があったからです。
その学習を終えた午後9時、オンラインによる発表に2人で臨みました。娘も私も緊張し、ノートパソコンを半分閉じた状態でこわごわと操作すると……。すき間をのぞいた娘が「合格」の画面を確認し、私は泣きくずれてしまいました。

美緒さん:
私はうれしくて、すぐに別の部屋で待っていた父と兄のところに走っていき、報告しました。

浅見航樹さん:
開成中学の入試の朝はふつうに過ごし、母と会場へ向かいました。試験は、算数の出題形式ががらっとかわっていたのが意外でした。手ごたえはあったけれども平均点も自分の得点も予想することができず、合格発表まで不安でした。

浅見さん(母):
息子は本番の入試までに、さまざまなことがありました。体調の異変が相ついだのです。開成中学の試験の日は顔色がよかったので、ただ「がんばっておいで」という気持ちで見送りました。
発表は入試から2日後の正午で、併願校の入試の最中でした。本人から「必ず自分で確認したい」といわれていたので、試験が終わるまで夫と近くの公園で待機。合流してからスマートフォンで合格を確認し、3人で「受かった!」と大きな声でさけんでしまいました。

航樹さん:
発表は合格者の受験番号が一覧になって出てくるしくみで、ぼくが自分の番号をみつけました。そのあとはみんなで大喜びでした。

志望校を決めるまで

本人や家族のみなさんは第1志望校をどのようにしてかためたり、決めたりしましたか。

航樹さん:
両親はぼくが受験する学校は大学付属校がよいだろうと考えていたようです。でも、ぼくは5年生になったころから、父の影響で大学受験をしたいと思うようになりました。そこで、塾の先生からすすめられたのが進学校の開成中学でした。
学校のことを調べてみると、充実した設備や自宅からそれほど遠くないなど、魅力がたくさんあることがわかりました。最終的に6年生の9月ごろ、第1志望としてチャレンジすることを決めました。

浅見さん(母):
開成中学を視野に入れたのは6年生の夏休み前でしたが、その夏、息子は何度も体調をくずしました。入院して夏期講習をかなり休んだので、夏休みは必要最低限の勉強しかできなかったと思います。そうした状況だったので不安はつのりましたが、本人の意思を尊重したい気持ちのほうが勝り、息子の挑戦を応援することに決めました。
ほかの志望校よりも自宅から近いことが、体力のない息子にとって安心できる材料になることも後押しした理由の一つでした。

青木さん(母):
志望校について、わが家では「親がいかせたいところではなく、本人がいきたい学校を選ぼう」という考えをもっていました。より多くの学校を知ることが大切と考え、息子が4、5年生のときに各校でおこなわれる「文化祭めぐり」をしました。5歳はなれた姉の経験から、6年生になると時間がとれなくなるとわかっていたからです。
聖光学院中学の文化祭には4年生のときに足を運びましたが、その時点で第1志望校と、心に決めていたようです。

希さん:
聖光学院中学は設備や学校の雰囲気がすばらしいと感じました。父の母校というのも魅力の一つでした。さらに決め手になったのが……。学食のラーメンです!

青木さん(母):
文化祭で食べてから、すっかり聖光学院中学のラーメンのとりこになってしまいました(笑い)。もちろん、夫が聖光学院中学の楽しい思い出を話して聞かせたことも大きかったと思います。息子の決意は本番までゆらぎませんでした。

美緒さん:
私が吉祥女子中学を志望校にしたいと母に伝えたのは、6年生になってからでした。家に置いてあった学校のパンフレットをたまたま読んだことがきっかけでした。吉祥女子中学の自由な校風を知り、「自分に合っている感じがする」と母に話しました。

桐澤さん(母):
実は私は娘が5年生のときから吉祥女子中学にひかれていました。塾の学校説明会で校風を知る機会があり、「ここに通わせたい」と感じていたのです。ただ、通学するのに1時間以上かかることから、ひとまず自分の気持ちを封印しました。
多くの学校を見学しましたが、決め手がある志望校はみつからないままでした。その矢先に娘から希望を聞いたので、吉祥女子中学の説明会に参加してみると、やはり相性のよさを実感しました。絵を描くことが好きな娘が喜びそうな教育環境がととのっていることもわかりました。自宅からの距離は気になってはいましたが、家族で吉祥女子中学を第1志望校としてめざすことを決めました。

家族のかかわり方は

受験の時期に家庭内のコミュニケーションで、心がけていたことなどはありましたか。

桐澤さん(母):
受験のシーズンは長く、つらいこともたくさんあるはずです。私が心がけたのは、娘の受験を「孤独な戦い」にさせないことでした。
自宅で学習する場所をリビングに決めたのも、その取り組みの一つでした。私はいつも娘のそばにいてメンタルの状態を気にかけ、娘が落ちこんだときはすぐに対処しました。勉強には主体的に取り組んでいたので、プリントの整理やタイムキーパーなどの役割に徹しました。夫が積極的に取り組んでいたのが家事。娘に寄り添う私をサポートするかたちで、受験を応援してくれていました。

美緒さん:
勉強は2歳上の兄からよく教えてもらいました。わからないことがあったときに呼ぶと、すぐに来てくれました。これから家族のみんなに恩返しをしたいと思っています。

浅見さん(母):
私が力を入れたことは、大きく二つあります。一つは教材の工夫です。体力面を考えたとき、息子には十分な睡眠が必要であり、効率よく勉強時間を使えるよう、教材に手を加えました。塾のテキストやノートに細かく目印やラベルをつけたり、プリントを分類・ファイリングしたり。めざすページにたどりつくための時間を短縮できるよう、工夫を徹底しました。
もう一つは体調管理で、こちらのほうがたいへんでした。食生活にはもちろん注意をはらっていましたが、加湿器を増やしたり、性能のいいマスクを取り入れたりするなど、できるかぎりのことを試みました。夫は時事的な問題を息子と話し合うなどして、ふだんの生活のなかで学習をバックアップしていましたね。

航樹さん:
母がテキストの目的のページをすぐに開けるようにしてくれたことは、ありがたかったです。5歳上の兄は初戦の日に激励の手紙をくれました。とても勇気づけられました。

青木さん(母):
私はフルタイムで働いており、見守る姿勢を徹底していました。勉強は塾と本人にまかせきりだったと思います。息子はゲームや動画をみるのが大好きですが「宿題はやった」というなら、そのことばを信じ、過度な干渉は避けました。つい口を出したくなるときもありましたが、ぐっとがまん。ふだんの勉強だけでも十分えらい! そう思っていたからです。小学生としての生活とリラックスする時間、受験勉強の三つのバランスを大切にしてあげたいという気持ちもありました。
夫も息子といっしょに動画をみたりするなど、リラックスの時間を共有していました。オンとオフの切りかえを尊重し、家庭を「安心できる場所」とするわが家の姿勢は入試の当日まで貫いたと考えています。

希さん:
母からは「なんか言いたそうだな」という雰囲気がひしひしと伝わってきました。がまんしてくれた母と、ぼくを大事に見守ってくれた父には感謝しかありません。

効果的な学習法を紹介

自分なりに工夫した勉強法や、効果を実感した取り組みはありますか。

航樹さん:
ぼくは理科の物理分野に苦手意識がありました。対策として取り組んだのが、実際には受験しない学校の過去問を使った学習です。物理分野の問題をぬき出して何度も解きました。いい練習になったと思います。
勉強の合間にしっかり休みを入れて、つかれを取ることも大切です。ぼくはラムネなどのあまいものを食べたり、好きなピアノを弾いたりしてリラックスしていました。

希さん:
ぼくは社会がずっと苦手でした。本番の直前に姉からアドバイスがあって「総まとめのテキストを演習し、答えをノートに書く→2周目以降はまちがえた問題を解き直す」という勉強を4周までくり返しました。
見直した問題が入試で出題されて解くことができたので、効果があったと思います。

美緒さん:
私には「問題の文章を正確に読まないで解き、できるはずの問題でまちがえてしまう」といった悪いくせがありました。母から「設問の大事なところに線を引く」「選択式の問題は消去法を用いる」などと注意を受けていたのですが、つい忘れてしまい、なかなか身につきませんでした。
けれども直前になってからようやく意識できるようになり、過去問の演習で正答率も上がりました。同じようなくせがある受験生のみなさんはぜひ、はやいうちから対策に取り組むことをおすすめします。

「次」の受験生たちへ

最後に、2026年度以降の受験を考えているみなさんに対し、メッセージやアドバイスをお願いします。

美緒さん:
受験勉強では苦手なところを一つひとつ明確にし、対策を考えることが大事です。力を出し切れるように取り組みをつづけ、本番の入試には自信をもって臨んでください。

希さん:
後輩のみなさんに伝えたいのは「とにかく本を読もう」ということです。本を読めば国語が得意になるだけでなく、ほかの科目でも問題の文章などを読むスピードがはやくなったり、精度が高くなったりします。さらに、問題の取りこぼしが少なくなり、見直しもやりやすくなるはずです。ぜひ試してみてください。

航樹さん:
ぼくが大事にしていたのは、塾の授業をしっかり聞き、その日のうちに復習して自分のものにすることです。受験した学校すべてで合格できたのは、塾の先生のおかげと思っています。新たに受験学年をむかえるみなさんも自分なりの方法で楽しみながら勉強してください。

桐澤さん(母):
娘といっしょにがんばれた受験期間は、いま思い返すと楽しい日々でもありました。もちろんつらいこともあると思いますが、受験ではがまんする力や、ものごとをやりとげる力も身につけられます。保護者にとって、そうした成長を目の当たりにできる経験は貴重です。新6年生のご家族はこれからの1年間を大切にしてください。

青木さん(母):
わが家は「平常運転」を心がけ、本番の前日までふだん通りに過ごしました。塾の先生も息子の性格を理解し、適切に声をかけてくれたと思います。無理を強いることのない環境が息子にはよかったのでしょう。2026年度の入試をめざすみなさんも、子どもの性格を尊重した無理のない受験をおすすめします。

浅見さん(母):
塾の先生には親の私もはげまされ、お世話になったことが多々あります。わが家の受験はつらいことに向き合う場面が多くありましたが「きついね。でも楽しんじゃおう」と、家族で明るく乗りこえてきました。受験では子どもと塾を信じ、家族が前向きに毎日を過ごすことが重要です。そして、どんなときも「楽しむ」という姿勢を大事にしてください。
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