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努力はセンスを超える



中学受験において、無視できない教科、算数。
小学校で学習する内容との乖離が他の3教科に比べて突出しているがゆえに、最も時間を割いて勉強しなければならない教科だと思います。合否を分ける教科と言ってもいいかもしれません。

では、算数ができるようになるためには、どのようにすればいいのか。今回はそんな話をしてみようと思います。

①算数における「スピード」とは
入試に限らずテストには、時間制限があります。だから、限られた時間の中で多くの問題を解き、得点を重ねるためには、当然スピードが求められます。
算数でいうスピードとは、2種類あります。ひとつは計算のスピード。この計算の速さに関して、啓明館は「筆算は絶対ではない」と考えています。
もちろん筆算は必要な技術です。しかし、何でも筆算で処理すると時間がかかりますし(筆算の横線を定規でひくとさらに時間がかかってしまいます)、何より数の感覚も育ちにくくなります。「25×4なら100」といった具合に、数を柔軟に捉えて暗算する力は、計算の速さだけでなく思考力そのものも支えてくれます。目安として2桁×1桁まではできる限り暗算で処理したいところです。加えて、日々の計算練習の中でだんだんと「答えを暗記してくること」も増えてくると思います。12の倍数や、3.14の倍数などは勝手に頭の中のメモリとして蓄積されていくかもしれません。
そしてスピードのもうひとつは、解法選択のスピードです。問題を見た時に、これはつるかめ算だ、と気づくことができれば、より速く問題を解けます。この解法選択を身に付けるための方法を次の項目で述べていきましょう。

②授業が第一
啓明館が大事にしているのは「授業中の教師の解説をしっかり聞くこと」です。
もちろん、テキストにも解説は載っていますし、ヴィーナレットにも算数のコンテンツが多数収録されています。しかし、授業に勝るものはありません。解説の際にしっかりと教師の話を聞くことが大事です。
もう少し具体化しましょう。
啓明館では「算数のノートは取らせない」方針です。「小学生にとって、『ノートを取りながら話を聞く』というのは意外に難しい作業である」と考えるからです。板書を書き写すことに集中しているうちに、肝心の説明を聞き逃してしまうことも少なくないでしょう。だから、解説をするときは、必ず筆記用具を置き、前を見て板書に注目するべしと生徒たちに指示を出します。「なぜその式を立てるのか」に耳を傾け、「どんな図を書きどんな数字をどんな順番で書き加えていくのか」を目で見て理解することが大切です。
集中して解説を聞くことは授業後の「復習」のベースにもなります。授業で扱った問題をもう一度解くだけではなく、「先生はどんな風に解いていたかな」と思い出しながら解くと、学習効率がさらに上がるでしょう。

③教師の解法を「真似てみる」
実際に問題を解く際に意識してほしいことは、教師の解法を真似てみるということ。
スポーツや芸術の世界でも、上達の第一歩はお手本を真似することです。それは算数でも同様ではないでしょうか。解説を聞いたあと、自分の流儀で解こうとする前に、まずは教師が示した解法をそのまま再現してみる。そうすることで問題を見る視点や考え方が身に付きます。学力が伸びる子ほど、実はこの「真似る力」に優れているように思います。
応用問題が苦手で……という相談をよく受けますが、全てはこの「真似ること」から始まるように思います。応用問題というのは、つまるところ、基礎の応用です。だから、総復習を重ねていく6年生の2学期には、基礎的な問題を大量に収録したテキストに取り組んでいきます。
要は、解法の“型”を身に付けてこそ、“型破り”の状態に昇華できるのであって、型を身に付けないままでは、“型無し”となってしまう、ということです。


算数の学力は、才能だけで決まるものではありません。素早く正確に計算する力を身に付け、授業で解き方を学び、それを真似し、繰り返し練習する。そうした積み重ねによってこそ、着実に力を伸ばしていくことができるでしょう。
算数科の責任者である本田は、保護者会で時折こう言います。「努力はセンスを超える」。算数が得意な子と苦手な子の差は、決して生まれ持ったセンスの差ではありません。正しい学び方を知り、授業を聞き、繰り返しの練習で教師の解法を我が物とする。その積み重ねの部分が意外と大きいのではないかと思います。