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前人未到の領域



今年、アメリカのバスケットボールリーグNBAで前人未到の領域に踏み込んだ選手がいます。その名は、レブロン・ジェームズ。1984年生まれの彼は、今年で41歳になります。2003年のドラフトにおいて全体1位で指名された彼は、今年で23シーズン目を迎えました。これまでのNBAの最長は22シーズン。バスケットというかなり運動量の多いスポーツにおいて、また、NBA選手の平均キャリア年数は4~5年と言われている中で、40歳を超えて現役選手として活躍を続け23シーズン目に到達したのはまさに圧巻の一言。
年齢を重ねてもその活躍は衰えることを知りません。37歳でのシーズン平均30得点、38歳でのプレイオフ40得点はいずれも最年長記録です。
そして何より彼の偉大さを示す記録は、歴代通算40000点でしょう(レギュラーシーズンのみ。プレイオフも合わせれば50000点)。この大台に到達しているのは、長いNBAの歴史の中でもレブロンただひとりです。

どうしてそれだけ長く、第一線で活躍できるのか。
シーズンを経るごとに高まっていくバスケIQ、それに裏打ちされたオールラウンド性、チームや時代に合わせたプレースタイルの変化……理由は様々あるでしょうが、よく知られているのは「徹底した自己管理」です。
レブロンは、毎年150万ドル以上を体のケアに投じていると言われています。日本円にすると約2億円。自らの体を「資本」として捉え、専属のシェフ、トレーナー、理学療法士、マッサージ師を雇ってコンディションを管理し、高気圧酸素カプセルや超低温療法などの最新技術を活用してケガの予防と回復に努めています。さらに、それだけの投資をしながらも、いわばタダで手に入る回復術である睡眠を重視し、1日8~10時間の睡眠を徹底しているそうです。トレーニングは、筋肥大を目的としたものではなく、効率的にプレーするために「強さ」と「柔軟性」を両立できるようなトレーニングになっています。
また、食事管理も徹底されていて、朝食で高タンパクなものと低糖質のものを食べ、試合前にはエネルギー重視の食事、試合後はリカバリーを優先した抗炎症食材を食べるといったもの。彼の専属シェフが語るには、「レブロンは食事すら“パフォーマンスの一部”と考えている」のだそうです。

もちろん、彼はプロバスケットボールプレイヤーで、私を含む世の中の大勢の人々はそうではありません。彼のように多額の自己投資は難しいし、専属のシェフを雇うなんて夢のまた夢。
ただ、彼のストイックさには学ぶところも大きいのではないかと思います。レブロンが数々の大記録を打ち立てることができたのは、当たり前のことかもしれませんが、試合に出場していない時間を充実させられたからこそでしょう。だから、自分の仕事に翻って考えると、授業で生徒の前に立つ、あるいは公開説明会で保護者の前に立つときには、相応の準備を継続しなければと改めて思わされます。世の中には、ひとつのことにこれだけストイックになれる人間がいるんだと思うと、自分もまだまだがんばれるなと感じます。


そして、中学受験生。
彼らは今、人生で一番の大勝負を目前に控えています。本番の2月1日までは残すところあと1か月。最後のひと月くらいはストイックになってみてもいいのではないかと私は思います。

見たいテレビを我慢して、机に向かう。
やりたいゲームを我慢して、筆記具を手にする。
スマホを手放して、テキストを開く。

生徒たちひとりひとりには各々の自分史上「前人未到の領域」があるのだと思います。そこに至るまでにいまだかつてない程の努力をする。そしてその努力の先に、志望校合格の無上の喜びという、まだ味わったことのない達成感と巡り合う。その感情は、レブロンが打ち立てた金字塔に勝るとも劣らない輝きをもって、受験生たちの心に到来するはずです。

2月1日まで残り37日。
子どもたちの「前人未到の領域」到達のため、最後の最後まで、生徒たちを鍛え上げていきます。