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訓練が必要な教科



中学生・高校生の時分、定期テストがあるからといって国語という教科の勉強をしたことは、実を言うとあまりありません。もちろん、古文漢文は、古文単語を覚えたり古典文法を勉強したり漢文の句形を覚えたりということはしましたが、こと現代文となるとさっぱりです。
なぜかって、「重点的に勉強しなくてもそれなりに点数がとれたから」ということに尽きます。定期テストに出題されるのは、授業で扱った文章ばかり。「一度授業で読んだのだから文章の内容はある程度分かっている。だから現代文の勉強よりも数学や歴史の勉強を優先しよう」と考えていました。

しかし、今は違います。
啓明館で国語を指導する中で得た学びは、「他の教科と同じように国語も訓練が必要な教科であって、センスに任せて点を取る教科ではない」ということです。4年次に国語が苦手だった生徒は、訓練を重ねることによって6年次には点数がとれるようになるし、もともと国語が得意だった生徒は、訓練を重ねることによって盤石の国語力を養う。そんな姿をたくさん見てきました。


では、どのような訓練が必要なのか。
①語彙の蓄積
当たり前のことですが、文章を読むうえで語彙は豊富であればあるほど良いものです。より適切に文意をつかむことができるはずです。どのようにして語彙を獲得するか。啓明館では、毎回の国語の授業の冒頭は漢字テストです。漢字ダイアリーの該当範囲を生徒たちは学習し、漢字テストで高得点を目指します。必ず文の中での読み書きを問うものになっていますから、単純な読み書きのみならず同音異義語や同訓異字の書き分けも求められることになるわけで、それらは言葉を運用する能力(この力も、広く語彙力に含まれるでしょう)に直結します。
そしてまた、週2回の国語の授業のうち1回は、慣用句やことわざなど語彙に関する授業です。もちろん、必要なことを覚えてチェックテストをするだけ、という風な無味乾燥な授業ではなく、時にはSee-Beを活用して語源までさかのぼって教えることもあります。
啓明館の国語のカリキュラムは1回の隔週テストについて必ず語彙の分野と読解のテーマが抱き合わせになっているのですが、語彙の大問の点数が高い生徒ほど、読解問題まで含めた国語全体の点数も高いというデータがあり、このことからも国語の学力に関して語彙が重要であることは間違いないでしょう。

②教材とカリキュラム
どんな文章を読ませるかも大事です。3年生・4年生の読解テキストを開いてみると、そこに並んでいるのは、小川未明『赤いろうそくと人魚』や宮沢賢治『どんぐりと山猫』といった、いわゆる“名文”と呼ばれる文学作品。5年生でヴェルヌ『十五少年漂流記』なども登場し、6年生では山川方夫『夏の葬列』を子どもたちに読ませます。
我々が意識しているのは、生徒たちに少しだけ“背伸び”をさせること。了解可能な文章だけを読んでいても読解力は身に着かないと考え、学年に応じた難易度ではなく少し難しいくらいの文章を与えます。
他方で、啓明館のカリキュラムは「テーマ主義」と題して、ひとつのカリキュラムの中で似たテーマの文章に連続して挑戦します。例えば4年生では「より遠くへ―むかしのおはなし」「より遠くへ―外国のおはなし」という風に子どもたちの世界を広げ、5年生では「『構造』ってなんだろう?」のカリキュラムで文章構造に意識を向ける。そして6年生では「戦争と人間」や「科学技術の光と影」というテーマを扱い、現代社会を理解していきます。加えて、どの学年にも詩・短歌・俳句の韻文を扱う回があり、言葉の響きやリズムに触れ日本語そのものを味わっていきます。
この「テーマ主義」のもと、生徒たちは様々なテーマの文章に触れることで、豊かな感性を培い、そのテーマに対する理解を深めていきます。

③アウトプットの訓練
とはいうものの、やはり啓明館は受験塾でもある以上、生徒が国語でしっかり得点できるように指導しなければなりません。特に保護者の皆さんも気になるのは記述問題でしょう。
国語科の責任者である石澤が紹介する学習法は「記述の問題の模範解答を書写する」というもの。模範解答は文字通り模範的な解答ですから、正しい解答の書き方を蓄積することによって、それを自らの解答に役立てることができます。石澤は、授業において記述問題の模範解答を子どもたちに口述筆記させるのだそうです。
これに加え、通常授業で扱う教材やテストにおいて、どの学年の教材にもある記述式の問題の全体に占める割合を、学年が上がるにつれて増やしていきます。4年生・5年生のうちは大問ひとつに1問程度の記述問題が、6年の2学期には3問~4問という量になります。もちろん書かせるだけではなく、生徒たちの答案を個々に添削する機会もとります。
さらに、6年生の2学期は「記号選択の訓練」や「長文を解くコツ」といった、より実戦的ないわば「解答作成能力」を高めていくようなカリキュラムを組んでいます。


こうした訓練を通して、入試で通用すること以上に、今後の人生にも役立つような国語の力を身に着けさせるのが啓明館の国語の指導です。特に、②と③についてはしっかりと子どもたちを鍛えられる自負があります。6年生の1年間に啓明館の国語の授業で与えられる文章の文字数は実に130万字以上。生徒たちに方法論を授けたうえで、アウトプットの機会を多くとるのも啓明館ならではかもしれません。

国語の力は、一朝一夕に身に着くものではないと思います。啓明館では、上記の取り組みによって子どもたちの国語の力を、多角的に着実に鍛えていきます。
今回は国語の話でした。また別の機会に、算数や社会、理科の話もしていきます。