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転ばぬ先の杖



「みずなし・こばなし」はこの9月で4周年を迎えました。いつもお読みいただきありがとうございます。
最近は、保護者の皆さんにも「『こばなし』、よく読んでますよ」という声をかけていただくことも増えてきました。これからも啓明館の理念・生徒の様子などを思い切り発信してまいりますので、「みずなし・こばなし」をよろしくお願いします。


さて、「中学受験を志す家庭において、親は我が子にどう接するべきか」というのは、啓明館のみならず中学受験界全体の永遠のテーマだと思います。
それに関する情報を得ようとすれば、たくさんの情報が飛び込んできます。「開成に合格する子がしていた7つの習慣」「難関校に受かる子の親がしていた3つのこと」など枚挙に暇がありません。果てには「合格する子の家の間取り」なる情報まであります。中学受験のために家の間取りまで考えなければならないのか……と半ば呆然としてしまうのは私だけでしょうか。
ただ、どんな情報もあくまで「その子に適していた方法」でしかないわけで、では翻って我が子と対した時に同じ方法が通用するかというと、答えは必ずしもYesではないでしょう。子どもたちの性格も違えば学力特性も違うし、家庭の状況だって千差万別です。条件が全く違うのに、方法だけ試してみてもうまくいかないこともあるかもしれません。だから、情報を探ったうえで上手に取捨選択をしていくことが肝要なのだと思います。


とはいうものの、我々教師としてはご家庭から相談された時にたくさんの選択肢を持っておきたいという思いがあります。そこで、学校訪問会などで中学校に足を運んだ際に、中学校の先生方に色々ヒアリングをしてみました。「中学校入学後に、生徒の保護者に対してどんなお話をされていますか」と。先生方の相手は精神的にもある程度成熟した中高生で、小学生を相手にする私たちとは違いますが、同じ教育者としてどういう思いをお持ちなのか個人的に興味がありました。
そうすると、どの学校の先生も口をそろえて「保護者には、我が子から手を放してほしい」と言います。親が先回りしていろいろやってあげるのではなく、子どもが失敗してもいいから自分でやらせてみるべきであると。ある先生は「失敗するなら早い方がいい」と言っていたし、ある中学校では心理学の専門家を招いて、親が手を放すことのメリットを話してもらうのだそうです。

啓明館の思いも同じです。
よく啓明館の保護者会で聞かれるワードのひとつに「“転ばぬ先の杖”を子どもに与えない」というものがありますが、この言葉の真意は上述の先生方が言っていたような内容です。勉強するのは親というより子どもたちですし、受験をして合格をつかむのも、親というより子どもたちです。
もちろん、最初から自立している子どもはそう多くないでしょう。だから、自転車に初めて乗る時のように、初めのうちは保護者が後ろから支えてあげることも必要だと思います。ただその後、子どもが自分でペダルをこぎ始めたなら、後ろからのサポートは不要のはずです。

もしも子どもが全く自立していなかった場合、中学に入って親が急に手を放すと、突然のことに混乱してしまうでしょう。だから、中学受験の時から、少しずつでも小学生を自立させていくことが必要になってくるのだと思います。そう考えると、中学受験というのは子どもが自立するプロセスそのものであると言うことができるかもしれません。

今、どの私立中高も多種多様なプログラムを準備しています。異文化交流、企業とのコラボレーション……どのプログラムもきっと生徒が主体的に動くからこそ充実した体験が得られるのでしょうし、学校や社会の中で主体的に考え自立して問題解決に取り組む姿勢は、保護者や先生に頼ってばかりいては身に着かないのではないでしょうか。やはり中学受験の段階で子どもたちが自立していた方がいいのは言うまでもありません。

啓明館の思いはきっとこれからも変わらないでしょう。キーワードは「“転ばぬ先の杖”を与えない」です。