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陽の高いうちに



1月31日の「心中はいかばかり」において、以下のように記しました。

保護者の応援を一身に受けて、子どもたちがここからの数日間を一人で戦っているわけではないのと同様に、保護者の皆さんも単独で戦っているわけではありません。
我々教師が、全力で、最後まで、挑戦を続ける受験生と、彼らを支える保護者の皆さんをサポートします。

子どもたちを信じて待ちましょう。心が弱ったときは、遠慮なくご連絡ください。

今年の入試における、この一節のような出来事を紹介してみたいと思います。


啓子さん(仮名)の志望校はA中学校。併願校としてB中とC中を受験する予定でした。
以前からずっとA中は憧れの学校だったそうです。入塾した時からA中に行きたいんですと言っていたほどでした。

猛勉強して迎えた2月1日。午前にA中を受験し、午後はC中を受験しました。A中の合格発表直後、お母さんからメールが入りました。

残念ながら、A中は不合格となりました。
号泣状態からなかなか立ち直ることができずにおります。隣で家族で励まし続けておりますが、お力添えをいただくことは可能でしょうか。

すぐに電話をします。確かに号泣していて、まともに話せるような状態ではありませんでしたが、こちらの言葉に反応しようとする気持ちは伝わってきます。そして泣き声もだんだんと落ち着いてきました。これで大丈夫だろうと信じ、「また明日の朝Zoomで会おうね!」と電話を切りました。

そして1時間後、C中の合格発表。合格してくれると思っていたのですがまさかの不合格。夜が遅かったので啓子さんは寝ていたようですが、お母さんと電話で話して、受験予定だったB中を回避してC中にリベンジに行くことが決まりました。

きっとC中の結果は翌朝に本人に伝えられたはずで、不合格を知った彼女がどんな顔でZoom激励に参加するのかと気が気でなかったのですが、いつもの元気な顔を見せてくれました。安心したのを覚えています。後から聞いた話ですが、本人はどこか吹っ切れた様子だったようで、お母さんが朝にC中にリベンジしにいくよ、と言うと、元気よく頷いていたんだそうです。

さて、彼女が午前中にC中を受験している間、ご両親と作戦会議です。
もちろん、C中へのリベンジ成功が一番です。合格できたなら、3日にA中に挑むのみですから。ただ、入試は何が起こるかわかりません。思い通りにいかなかった場合を想定して、ご両親と受験校を相談しました。そういった悪いパターンを考えるのは我々としても非常に心苦しいのですが、こればかりは仕方ありません。仮にC中に不合格だった場合は、D中を受験して何とか合格を取りに行くことになりました。

夜の合格発表。私も、もしかしたら今年の受験で一番ドキドキしたかもしれません。
結果は、見事合格。ペアを組んでいた椎野と思わずハイタッチです。
すぐに啓子さんのお母さんからメールです。家族で大号泣だったそうです。前日の号泣とは正反対の意味だったのが、とても良かった。そしてメールの中にこんな一節がありました。

昨日の凹みから立ち直り、今日戦った娘が誇りです。

この一節に心が震えたのは、言うまでもありません。
我が子を誇りだと言えるのは非常にかっこいいし、保護者が誇りだと言える行動をできる啓子さん自身も非常に素晴らしい生徒です。

その後受けたA中には残念ながらご縁がありませんでしたが、今も彼女は前を向いて、元気に、中学1年生の講座に通ってくれています。


その時々の結果に応じて最悪の事態を想定し、早めに受験校の相談ができたからこそ、合格を引き寄せられたのだと思います。

この「早めに」というのがポイントだったのではないでしょうか。

夕方から夜にかけての合格発表の後だと、外の暗さに影響されるのか、話す内容や思考まで暗くなってしまいそうな気がします。ですから、啓子さんの場合も陽の高いうちに早めに相談できたことが効いたのかもしれません。

もちろん、受験校を決める面談でも合格可能性を吟味し受験の作戦を話し合います。しかし、入試では何が起こるかわかりません。ただ、その不測の事態の中でも、冒頭の一節のように、保護者と教師とで様々なことを相談する。即座に且つ密に連携をとりながら入試を乗り切っていく。それができるのが、啓明館の強みのひとつだと思っています。