グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > みずなし・こばなし > 227の成長の物語

227の成長の物語



2024年度入試も一段落しました。

受験生たちは、今年も多くの合格を勝ち取ってくれました。
しかし、合格すること以上に我々が重んじているのは、公開説明会で「進学塾である一方で、子どもたちを成長させる教育塾でありたい」とお伝えしている通り、中学入試を通して生徒たちが成長することです。
今回は、特に印象的だった生徒を紹介しようと思います。


ある女子生徒は、教室では我々オトナと何の不自由なく話せるのですが、改まった場面になると声も小さくなり語調もたどたどしくなる生徒でした。
年末年始の正月特訓、お弁当持参で朝から夕方まで授業があり、生徒が帰宅した後に彼女が弁当箱を教室に忘れていることに気づきました。次の日にまた来るとはいえ、そのままにしておくのも不衛生ですから、お弁当箱を洗って次の日に渡したわけです。
後日の授業。彼女が声をかけてきました。
生徒「先生、あの、えっと、、、、、、、、なんだっけ」
水梨「(なんだっけってなんだよ!)どうしたの?」
生徒「えっと、先日は、お弁当を、洗ってくださって、ありがとうございました。母が、いたく感謝していました。えっと、本当にありがとうございました!」
と言ってくれました。何と立派なご口上でしょう。おそらくお母さんが仕込んでくださった挨拶だとは思いますが、いずれにせよ素敵な成長を見せてくれました。
と同時に、私が彼女の第一志望合格を確信した瞬間です。このような立派な口上を述べられる生徒が合格しないはずがありません。迎えた2月、彼女は見事1回で志望校合格を勝ち取りました。


また別の男子生徒。算数は誰にも負けないくらいの成績を収めるのですが、それ以外の科目はからきし。特に国語は大きく足を引っ張っていました。性格は、自信のなさからなのか、石橋をたくさん叩くタイプです。授業中は静かだったし、少なくとも自分から前に出る生徒ではありません。過去には、隔週テストで成績が大幅に下降し、トイレから出てこなかったこともありました。
彼に転機が訪れたのは、秋の外部模試で悪い成績をとってしまった時です。それからというもの、彼の勉強量は目を瞠るものがありました。誰よりも早く教室に来てテキストに向かい、授業後には必ず残って読解問題と向き合う。成果が表れたのは冬です。授業内の演習でも、丸がつく数が次第に増えていきました。
2月1日、午後に受験した学校の合格発表は夜の遅い時間です。次の日の試験に備えるため、お母さんは親が結果を見ておくから早く寝るように促したそうです。すると彼は、しっかりした口調でこう答えました。
「受かっても落ちてもちゃんと受け止められるよ。自分が受けたんだから、自分で確認したいんだ」
鳥肌が立ちました。
おそらく、秋からの猛勉強を通して、自信をつけてくれたのでしょう。本気でがんばったからこそ、自分で合否を確認したいという彼の気持ちはよくわかるし、少なくとも、トイレにこもっていた少年とは別人のように思われます。
その午後の受験校、結果は合格。仮に不合格だったとしても、10分後には切り替えて翌日の試験に備えてくれていたと確信できます。


こんな風に、子どもたちは受験を通して、周囲の大人が驚愕するほどに成長します。時には我々の期待以上に。その成長を間近に見られることが、教師としての醍醐味のひとつです。
彼らは中学受験を経て、中学高校の6年間やその後の人生においても大いに活躍し、「学力を以て社会に貢献する人材」となってくれることでしょう。


今年の受験生227名全員が、最後まで入試を戦ってくれました。諦めることなく、途中で逃げ出すことなく、挑戦を続けた生徒たちを、啓明館教師一同、大いに誇りに思います。

そこには、227のドラマがあり、227の成長の物語があります。
これからも啓明館は、成長の物語を紡ぎ続けます。