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ワクワク



「世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」という和歌があります。

現代語に訳せば「世の中に桜がなかったならば、春を過ごす人の心はどれだけのどかだろうか」となるでしょうか。
もちろん、在原業平のこの歌は決して桜の存在を憎んでいるわけではありません。春になると人々は桜が咲くのを心待ちにします。そして、咲いたら咲いたで今度はいつ散るだろうかと落ち着きません。桜の存在によって人々の心が穏やかでないことを述べて、逆説的に人々の心を躍らせる桜の魅力を表現しているものと考えられています。

確かに、春はワクワクする季節です。今年の桜はどれだけ綺麗な景色を見せてくれるのだろうと期待がふくらみます。
桜だけではないでしょう。春は一年の始まりで出会いの季節でもありますから、誰かとの素敵な出会いがあるかもしれないし、何か素敵な出来事が私たちを待ち受けているかもしれません。そして先ほどの和歌は、そんな風な春のワクワクする気持ちをも肯定してくれているような気がします。

この「ワクワクする気持ち」って、普段の生活の中でも大切なことなのだと思います。
啓明館に通う生徒たちには、今度の授業ではどんなことを勉強するのだろう、先生はどんな風に教えてくれるのだろうとワクワクしてほしいなと思うし、子どもたちを預ける保護者も、我が子の成長にワクワクしているかもしれません。その期待に応えねばと思うと我々教師も背筋が伸びます。

啓明館には“ワクワク”を届ける取り組みがいくつもあります。

まずはSee-be。HPにも詳述されていますので説明は割愛しますが、子どもたちの理解を促すためにはやはり映像というかビジュアルの教材は効果てきめんです。映像を見せると子どもたちは顔をあげて食い入るようにホワイトボードを見つめています。

或いは「ほめほめカード」。何かを達成した時に子どもたちに渡すものです。例えば、日々の漢字テストで満点をとったとか、授業中に素晴らしい発言をしたとか。この通称“ほめカ”、毎月新たなデザインのカードが作成されるのですが、子どもたちの収集欲を刺激するようで、子どもたちは何かにつけてカードを要求してきます。「はい、じゃ、漢字テスト15点満点の人にカードあげるよー」「先生、14点にも!」「仕方ないなー」「先生、10点にも!」「それはダメだ(笑)」のような場面もしばしば。いずれにせよ、子どもたちがカード獲得のためにがんばってくれていることは確かでしょう。

そして、授業に「テキスト以外の何か」を持ち込むこと。先日の春期講習では、社会の教材として「駅弁」が使われました。その地方の特色が色濃く表れている駅弁を手掛かりにその地方の産業を知るという狙いがあったのですが、まあ子どもたちの食いつきはすごかったです。また、理科の教師は「身のまわりのカガク」を子どもたちに伝えるべく、様々な教材を準備します。静電気の実験のために棒状の風船をたくさん膨らませたり、凝固点降下を体験するためにジュースと食塩と氷を持ち込んで、みんなでシャーベットを作ってみたり。こういった風に、授業に「モノ」が登場すると子どもたちはみな目を輝かせます。


他方で、「この問題を解けるようになりたい!」という決意や、「〇〇中学校に合格したい!」という志望校への憧れも“ワクワク”のひとつでしょう。高い壁が目の前に現れたときに生徒たちを支えてくれるのが、そのような「ワクワクする気持ち」なのだと思います。

さらに言えば、子どもたちがワクワクするのと同じように、周りの大人もワクワクするべきなのかもしれません。目標に向かって努力を続ける生徒たちは、その努力の先にどれだけ成長してくれるのだろうと期待を込めて子供に対することができれば、子どもたちもそれに応えてくれるのではないでしょうか。

啓明館はこれからも、一生モノの思い出になるような“ワクワク”を届けていきます。