グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム > みずなし・こばなし > 脱・暗記科目

脱・暗記科目



先日、5年生以下の保護者を対象に「入試報告会」を開催しました。啓明館の教師たちがその年の中学入試の問題に目を通して、学校ごとの出題傾向や教科全体のトレンドを分析し、それらをもとに今後の学習の指針を保護者と共有します。

4教科ともに、多種多様な問題が出されているのがよくわかります。国語では「こんな難しい漢字を書かせるのか!」とか、算数だと「すごいな、この複雑な図形」とか、教師を唸らせる難問も散見されました。話したいことはたくさんあるのですが、今回は特に社会と理科について見ていこうと思います。


近年の両教科の入試問題を見ていて感じるのは、「脱・暗記科目」しているということ。多くの方がイメージする社会や理科の問題は、一問一答形式で受験勉強の練度を測るような問題だと思います。しかし最近は、そういった知識の積み上げを前提として、さらに表やグラフなどの資料を活用させたり、問題文の中にちりばめたヒントをもとに解かせたりする問題が、以前よりも増えてきています。
例えばこちらの社会の問題。

(西大和学園)

イクラ・ウナギ・ハマグリの月別卸売平均価格と卸売取扱数量を示して正しいグラフを選ばせる問題です。それぞれの平均価格と取扱数量にはある程度の相関が見られますので、数量が増えるタイミングはいつかと考え、季節のイベントへと発想を拡大していくことが求められました。
次はこちらの理科の問題です。

(渋谷教育学園渋谷3回)

問題文の長さに驚かされます。文字数はなんと2,500字以上。ちょっとした国語の読解です。日焼け止めの仕組みについての文章なのですが、問題文を読み進めていると、なるほど~と唸ってしまう内容になっています(試験時間中に、そのように感心している時間はないと思いますが)。
そして特筆すべきは、SPFの計算というおそらくどのテキストにも載っていない内容を、問題文から読み取らせて計算させているということ。いうなれば「現場判断能力」が問われています。


社会でも理科でも、問題が扱っているテーマは「身のまわりへの関心」と言えるのではないでしょうか。今回はそれぞれ1題ずつの紹介にとどめますが、社会では他にも「昔話で出てくるシバかりのシバって何?」という出題がありましたし、理科では「昨年の猛暑を引き起こしたラニーニャ現象の仕組みとは?」を問うものがありました。このように、大人にとっては当たり前でも、子どもたちには常識ではない内容を掘り下げていく傾向が顕著に見られます。


中学受験生に求められているのは、普段の勉強で養われる学力のほかに、身のまわりに関心を持ち様々な知識を吸収するよう努めること。そして彼らを指導する教師や受験生をサポートする保護者に求められているのは、子どもたちの世界を広げる話をたくさんしてあげることなのだと思います。
子どもたちが疑問を投げかけてきたときに、時には一緒に調べて疑問を解決してもいいでしょうし、季節の行事を一緒に楽しむことも子どもたちにとってはかけがえのない経験です。

啓明館は春期講習の真っ最中です。子どもたちにたくさんのことを知ってほしいというその思いで、今日も授業をしようと思います。