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今日のポイント



5年2学期の算数のカリキュラムは、重要単元が目白押しです。
売買損益や水溶液の濃度などの【割合】に始まり、入試に出題しない学校はないと言っても過言ではない【速さ】を経て、中学受験算数の最重要単元のひとつである【比】へ突入していきます。
4年生から5年生1学期までの内容との一番の相違は、なんといっても抽象的な数字が登場することでしょう。これまでは人数やら個数やら、或いは面積や体積など、いずれにせよ具体的な数字を求めることに終始していました。それとは対照的に、ここからのカリキュラムは、例えば2つの長方形において面積比と縦の長さの比から横の長さの比を求めるなど、数字情報の抽象さが増してくるわけです。

この大事な5年2学期を充実したものにするために、私が担当しているクラスである試みを始めてみました。それは「授業内で教師が『ここは大事!』と強調したポイントを家に帰って保護者に話す」というもの。
具体的には、授業をする→保護者に「今日の授業のポイントは○○です。お子さんにポイントが何だったか聞いてみてください!」とメールを送信する→保護者から言えたかどうかの返信が来る→それをもとに次回生徒対応にあたる、という感じです。
まず授業の中では、強調するポイントを子どもたちにとって印象に残るようにまとめあげることを意識しました。例えば、速さの単元で旅人算を学習した日のポイントは「反対方向→速さの“和”、同じ方向→速さの“差”」でした。手前味噌で恐縮ですが、リズムもいいですよね。
そして、保護者へのメールはただ強調ポイントを伝えるだけではありません。授業内でのクラスの様子(こういう問題は多くの生徒がクリアしていましたが、こういう問題は苦労している生徒が多かったです、など)や、授業で扱った問題の類題は〇ページの□番の問題です、という内容も添えるように努めました。

当初は、教師から保護者へ授業に関するメールが送られたことに驚く(というかギョッとする?)子も少なくなかったようですが、しばらくするうちに、家に帰って開口一番「今日のポイントは〇〇だったよ!」と言ってくれる生徒もいたとか。

毎回の授業を大切にしてほしいという願いから始めたこの取り組みですが、生徒たちの様子に段々と変化が感じられるようになりました。
まずは、子どもたちの授業を受ける姿勢。授業中に、私が今日のポイントになりそうなことを口走ると、「あ、これ今日聞かれそうだ!」とノートにメモをとる姿がそこここに見られます。メモはとらないにせよ、教師の伝える解法を素直に真似て、問題演習で〇がつく数が増える生徒も大勢いました。
そして何より、テストの成績。子どもたちも、現在取り組んでいる単元は重要なんだという意識が徐々に芽生えてきたのでしょう。クラス全体の算数の成績が目に見えて上向いてきましたし、「あれ、この子算数こんなに取れたっけ」とこちらがハッとするような好成績を収める生徒もちらほら。その好調の要因は、もちろん授業もさることながら、子どもたちが家庭学習において、これまでよりも高い集中力で問題に向かうようになったことも大きいのだと思います。
もちろん、ポイントが答えられなかった生徒には声をかけます。授業でも指名してポイントを言わせるなどすると、その生徒も家で答えられようになり、しっかり修正してきてくれます。

こうした私が意図した通りの効果だけではなく、思わぬメリットもありました。
いくつかの家庭では、この授業後メールをきっかけに、保護者が我が子と啓明館の授業に関して話す機会が増えたのだそうです。加えて、我が子が授業をどのくらい理解しているかの度合いが分かり、応援したり褒めたりがしやすくなったとか。保護者に褒められて嬉しそうな顔をする生徒たちが目に浮かびます。冥利に尽きるというか、単純に嬉しいですよね。

こういった風に保護者と教師とで緊密な連携をとることで、周りのオトナが自分を見守ってくれているんだという意識が子どもたちの中に芽生えるのかもしれません。その安心感とでもいうべき思いが、何の憂いもなく勉強に打ち込むことにつながっていくのでしょう。

全ては、子どもたちの更なる飛躍のため。
今日の授業では、どんなメールを送りましょうか。