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なぜそれだけ多いのか



梅雨の匂いが感じられる季節になりました。皆さま、GWはいかがお過ごしでしたか。緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が発出されていない久しぶりの5月の連休でしたから、旅行されたご家庭も少なくないかもしれません。
かくいう私は、前半の連休を使って実家の八戸に帰省しました。両親に孫の顔を見せるというのもありますが、やはり生まれ育った場所の空気というのは特別です。八戸の空気をいっぱいに吸ってしっかりとリフレッシュできたような気がします。まあ、東京に戻ってきてもしばらく抜けない方言が玉にキズなのですが。

先述の通り、私は青森県八戸市に生まれましたが、私の小学生時分、地元に私立中学校はありませんでした。ですから、中学受験というものを、どこか異国の文化であるかのように感じながら育ったような気がします。

そんな私が中学受験の世界を身近に感じるようになったのは東京に出てきてからです。大学の知人に有名私立のOB・OGが数多くいました。八戸にいた頃でも名前を聞いたことがあるような開成や桜蔭、加えて、首都圏や関西圏の数々の有名校。東大合格者数は私立高校が多いというのは知識として聞きかじってはいたものの、実際に目の当たりにしてカルチャーショックを感じたのを覚えています(もちろん、トップ大学に合格することが全てではありません)。

実際に調べてみると、東大合格者数の高校別ランキングは、上位を中高一貫の私立高校が占めています。2022年度の入試では、トップ10のうち実に9校が私立の学校。

大学生活を送りながら、なぜそれだけ多いのかを考えていました。
理由が分かったのは、啓明館で働き始めてからです。

まずは学習内容。
中学入試で扱われる学習内容は本当に多岐にわたります。国語や算数は奥深いし、理科社会は大学入試レベルまでカバーする内容もちらほら。もし自分が中学受験をしていたら、きっとのめりこんでいただろうなと思います。

そして学習環境。
受験校として選べる中学校は取捨選択に困るほどたくさんあります。これまでに私も様々な中学校の説明会に参加しましたが、どの学校もそれぞれに魅力を持っています。もし自分に第二の人生があればお世話になりたい学校がたくさんありました。

加えて、おそらくは最も大きな理由かもしれない、学習姿勢。習慣と言い換えてもいいかもしれません。
小学校高学年の時点で(もしかしたら低学年から)、必ずしも経験する必要のない中学受験というものに立ち向かう。その過程において、自分を律して自らの目標実現のために直向きに努力をする。中学受験をしない友人は遊んだりYouTubeを見ていたりしているだろう時間に、難問の数々と向き合わなければならないこともあるでしょう。その姿勢や経験、習慣こそが、彼らを大きく成長させ、大学受験の時も彼らを支えてくれるのかもしれません。

そして、もうひとつ思ったこと。
小学生が壁に立ち向かうとはいっても、もちろん一人では難しい時もあります。すなわち、やはり親の関わりも重要であるということ。家庭学習の充実の手助けをしたり、説明会に足を運んで我が子に最適な学校を選んだりという保護者の誠心誠意のフォローがあればこそ、子どもたちも思いっきり勉強に励むことができるのだと思います。

中学受験というのは、本人もさることながら、親が選択しないと始まらない。さらに住んでいる地域までもが大きく影響する世界です。
だから、啓明館で働き始めて最初に思ったことは、「こんな上質な環境にいる生徒たちがうらやましい」ということでした。

であるからこそ、生徒のみんなには本気でがんばってほしい。
その恵まれた環境を自覚し、まさに「有り難し」と感謝の心を持ち、中学受験の中で培った知識や経験を他者のために惜しみなく活用できるような人間、「学力をもって社会に貢献する人材」になってほしい。

他方で、保護者や教師すなわちオトナ側にも、それ相応の行動が求められるのではないでしょうか。本気でがんばろうとする生徒たちを温かく見守る。時には、厳しい言葉で良くない行動を戒めることも必要かもしれません。しかし、最も大事なことは、子どもたちのがんばりを最大限認めること。そして子どもたちの成長を、大人の本気をもって思い切り期待することなのだと、私は思います。

大人も子どもも本気になって、どんよりとした梅雨空を吹き飛ばしましょう!