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風に向かっている時



Kites rise highest against the wind, not with it.
「凧が最も高く揚がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない。」

私が大切にしている、イギリスの元首相ウィンストン・チャーチルの言葉です。
氏は、第二次世界大戦中の1940年に首相となり、終結まで戦争を主導しました。開戦当初はヒトラー率いるドイツに苦戦しながら、バトル・オブ・ブリテンと呼ばれる航空戦ではドイツ空軍を撃退。日本の参戦後、再び劣勢となり、アジアにおける影響力を減退させられますが、ここでも、アメリカの協力を得て、日本を徐々に追い詰めます。そして、かの有名なノルマンディー上陸作戦などを成功させ、第二次世界大戦を終局へと導きます。

第二次世界大戦の戦局と同じように、彼の人生そのものも決して順風満帆ではなかったようです。
1900年のボーア戦争の際には捕虜になる。政策の失敗から大臣の座を追われる。極めつけに、第二次世界大戦を勝利に導いたにもかかわらず、終戦後の総選挙で彼が党首を務める保守党は惨敗しました。

しかし、どんな逆境にあろうと彼は不屈の精神で立ち上がります。
捕虜になった時には、トイレの窓から抜け出して収容所を脱走し見事帰還を果たします。
1914年に海軍大臣を罷免された時には、その後も入閣工作をあきらめず、1917年に軍需大臣として再入閣し、各国を苦しめた塹壕を突破するための新兵器である戦車を大量に開発させ、イギリスに勝利をもたらします。
終戦後の総選挙で大敗を喫した時には、それでも反共産主義活動を継続し、かの有名な「鉄のカーテン演説」を行います。そして、見事首相に返り咲き、ヨーロッパ統合の端緒となる「西欧同盟」を実現させました。

そんな彼が残した冒頭の名句。彼の波乱万丈な人生に思いを馳せると、胸に迫ってくるものがあります。


さあ、受験生の皆さん、明日はいよいよ2月1日です。これまで、テストで大失敗をしたり、頑張っても成績が伸び悩んだり、様々な辛い経験をしてきたかもしれません。しかしそれらは、あなたを高く高く飛翔させるための向かい風だったのです。

そして、ここからの数日間、辛く苦しいことが待っているかもしれません。逃げ出したい気持ちになるかもしれません。しかしそれは、あなたを更なる高みへと導く、大いなる風なのです。

諦めることはありません。凧が向かい風を前に高く飛翔するように、壁に立ち向かってこそ拓かれる道があるはずです。

全ての中学受験生の健闘を期待します。
彼らへのエールに代えて、最後に再びチャーチルの残した言葉を贈ります。

Never give in. Never give in. Never, never, never, never.
決して屈するな。決して屈するな。決して。決して。決して。決して。