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ホーム > 目黒佳菜の啓明館日記 > サラバ記念日

サラバ記念日



それから、何時も目黒先生が手を振って下さるのに、無愛想な息子で大変申し訳ありません。「僕、手を振らなかった」と帰宅します。「それは、返そうね、普通に。」と話しています。笑

ある日、啓大くん(仮名)のお母さんとのメールのやり取りの最後に、こんな内容が付け加えられていた。

レプトンとパズル道場に通ってくれている、小学校1年生の啓大くん。直接授業は担当していないのだが、廊下ですれ違う度に「こんにちは~!けいたく~~ん!」と手を振っていた。生徒に会えることが嬉しくて毎回少々ハイテンションに挨拶をしていたかとは思うが、手を振る度に啓大くんは大きく表情を変えることなく、手を振り返すこともなく、そこに立っていた。

いや……正確に言うと……ちょっっぴり困った表情をしていたような気がしなくもない。

しかし私は彼のそんな様子を特に気にすることはなく、むしろ、ちょっぴり困っている啓大くんを可愛いとさえ思いながら(啓大くんごめんね笑)、めげることなく会う度に手を振り続けていた。

そんなことが何度か続いたある日、お母さんから上のメールが送られてきた。まさか毎回「僕、手を振らなかった」と帰宅後に報告をしていたとは。あまりに微笑ましい事実に思わず笑ってしまった。

そして「お気になさらずです!」と返信をして、その後も啓大くんに会う度に手を振り続けていた。


するとある日……

そして、息子の手を振らない案件。本当にすみません。とうとう後藤先生にも手を振っていただき、振り返せなかったと帰宅しています。多少ですが、やっと知り合い程度の友達に返せるようになったようなんです。笑。もう、これは目黒先生懲りずにやり続けてください。と、お願いするしかない。小さな試練。付き合わせてしまい、すみません。

とのメール。
私はこの文章を見て、正義感に駆られて、「よっしゃ、啓大くんに会う度に、今後も元気に手を振り続けるぞー!」と気持ちを新たにした。「啓大くんがいつか振り返せる日を見届けるんだー!」と意気込んだ。気分は地球を救うスーパーヒーロー。

目黒「啓大くん、こんにちは~!!(手を大きく振る)」
啓大「……」

目黒「あら、今日ははやめに来たのね~!」(手を大きく振る)」
啓大「……」

目黒「啓大くん、今日は暑いよね~Tシャツがちょうどいいよね~!(手を大きく振る)」
啓大「……」

こんなやり取りがしばらく続いた。


そして…
忘れもしない10月8日木曜日…

4階で私が仕事をしていると、ちょうど帰るところであった啓大くんに遭遇した。いつもと変わらずに「啓大くんさようなら~!」と大きく手を振りながら挨拶をすると

しばしの沈黙のあと、啓大くんが手を振り返してくれた。
(表情は少し強張っていたかと思う)


私は思わず「きゃ~!啓大くん、やったね~!!」と大喜びをして、そして隣に座っていた同僚に「今、啓大くん、手を振り返してくれましたよね!?」と喜びの共有(強要?)をした。

啓大くん、必要以上に喜んでごめんね(苦笑)ちょっと煩わしかったよね。
大人からすると、なかなか手を振り返すことができない理由がわからないけれど、きっと啓大くんにとってはどうしても出来なかったことの1つであって、

そして彼がそれを克服できた瞬間を見届けられたことが嬉しくて嬉しくて思わず大喜びをしてしまったのだと思う。
子供たちの成長を間近で感じることができる教師という職業は、楽しい。


「さようなら」と君が手を振ってくれたから
十月八日はサラバ記念日

なーんてね。

近い将来、後藤先生にも手を振り返せるといいね。
ファイト啓大くん!