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ホーム > 塾長 後藤卓也のつぶやき > 初めての塾通い、親は不安を一人で抱え込まないように

初めての塾通い、親は不安を一人で抱え込まないように



新3・4年生のママとリモートお茶会で「おしゃべり」

毎年2月の第1週、私たちの塾は1年のスタートを切ります。中学受験を終えた6年生が巣立って行くのと同時に、多くの子供たちが入塾してきます。新3年生はほとんどが初めての塾通い。新4年生のほぼ半数は3年時からの進級組ですが、週1日・2教科から週3日・4教科へと塾の学習は大きな転換を迎えます。

そこで例年、新学年の授業が始まって1か月になる3月に、新3・4年のクラス担任と保護者の「ランチ会」を開催しています。保護者からの質問に答えたり、授業中のエピソードを披露したりしながら、懇親を深めてきました。

今年はコロナ禍のためビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使っての「リモートお茶会」となりましたが、新3年生、新4年生合わせて計12回実施し、毎回15人程度の保護者にクラス担任2人、そして私も加わって1時間半以上「おしゃべり」をしました。

「おいしいイタリアンを食べながら」という楽しみはなかったものの、赤ん坊をあやしながら参加したママや、「いま職場なので画面はオフ。質問はチャットで失礼します」というママもいて、リモートゆえのメリットを再認識することもできました。

お茶会では、まず参加者たちに「我が子の様子」を1人ずつ語ってもらいます。「ウチの子は引っ込み思案で、学校でも手を挙げないので」という話に、担任が「いえいえ、昨日も一番たくさん発言してくれましたよ」などと塾での様子を伝えていく。

それから、教室での子供たちのスナップ写真を画面共有してお見せして、残りの時間に質疑応答をしました。「字が汚くて」「計算ミスが多くて」「文章を書くのが苦手で」といった悩みに答えていると、あっという間に時間が過ぎていきました。

私はすべてのお茶会に参加し、200人近い保護者の皆さんの話を聞きました。塾は初体験という子も含めて、「塾はすごく楽しいと言って、喜んで通っています」「家に帰ると、塾での出来事をたくさん話してくれます」と、ほぼ全員の保護者が語ってくれたことを何よりうれしく思いました。

ただ、いったん塾に通い始めると、保護者に「不安」と「欲」が芽生えてきます。「ちゃんと授業を聞いているのか」といった不安、「漢字テストくらい満点を取ってほしい」といった欲。どちらも親としては当たり前の感情でしょう。実は「お茶会」の一番の目的は、ママたちが一人で悩み込まないようにすることです。

子供が塾に通い始めたママたちの不安や悩みに、ここで一つずつ答えるのは難しく、お許しください。例えば計算ミスの悩みについては、この連載コラム「マナビレンジャー 合格への道」で私が以前執筆した「『計算ミス』を叱ってはいけない理由…後藤卓也」をご一読ください。

子供が本気で「悔しい」と思うまでテスト結果を叱らない

今年の「お茶会」で、私はざっくりと次のように話しました。「塾内テストが始まり、その結果でクラス分けされるようになれば、『点数を上げるためには、何をするべきで、何をしてはいけないか』を少しずつ考えるようになります」。そして、「本当に『1点の重み』を理解するようになるのは、志望校が決まり、過去問に取り組み始める6年生の秋。一番遅い子は1月入試で大失敗したあと、つまり入試本番の1週間前くらいですよ」と伝えました。

さらに、「いつ目覚めの時期が訪れるかは、男女差や個人差もあるし、偶然的な要因もあります。大切なのは、子供が自分から本気で『悔しい』という思いを抱くまで、テストの結果について絶対に叱らないことです」と付け加えました。

塾のテストでは、「頑張ったのに、ミスをしてクラスが下がった」「前の日にちゃんと見直しをしなかったから、できたはずの問題をたくさん落とした」などと痛恨の思いをすることがあります。逆に「今回は苦手な算数を頑張った。そのせいで国語と社会は『死んだ』けど、算数の点数は上がった」といったささやかな達成感を覚える時もあります。

自分で頑張った結果だからうれしい。自分が失敗した結果だから悔しい。少なくとも最後の最後、中学入試本番の結果を受け止める時に、子供がそう思えるように「心」を育てていかなければ、中学受験をさせる意味がないと私は思います。

子供の笑顔や、やる気をまずは大切に

「字を丁寧に書く」「ちゃんと桁をそろえて筆算をする」「問題文に線を引く」など全部きちんとできるようにしてテストの点数を上げることと、「きょうも超楽しかった」と塾から帰ってくる笑顔や、「先生がオススメしてくれた本、買ってほしい」というおねだりのどちらをうれしく思うでしょうか。

もちろん「両方」というのが親のホンネでしょうが、まずは後者。勉強って意外と面白いじゃんという発見や、自分から勉強しようという姿勢を大切にしてあげましょう。子供が塾通いを始めて不安なママたちへ、それが私から伝えたいことです。 

リモートお茶会の参加者の中に、今年、長女が中学受験を終え、次女が私たちの塾に通い始めたママがいました。

そのママが「上の子の時は『他の子に遅れをとらないように』という思いで私が宿題を全部チェックし、テスト結果に対して厳しく叱りもしました。合格はしたけれど、私が彼女を勉強嫌いにしてしまったという思いがあります。下の子は絶対に塾や勉強が嫌いにならないようにしたいです」と話し、参加者たちが「受験を経験した先輩ママ」の言葉に深くうなずいていたのが印象的でした。

後日、皆さんからお礼や感想のメールを頂戴しましたが、「同じクラスのお母さんたちの話が聞けてよかったです」「同じ悩みを抱えている方がたくさんいて、安心しました」という内容が大半でした。もちろん「受験を経験されたお母様の話がすごく心に残りました」というメールもたくさん届きました。

私も同僚の教師たちも、これまでの経験に基づき、保護者の思いを受け止めながら、精いっぱいお話ししたつもりですが、「先輩ママの一言」にはかなわなかったなと、ちょっと悔しくもあり、でもそういう保護者同士の輪を作ることができたことをとてもうれしく思いました。

(中学受験サポート2021年4月)