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ホーム > 塾長 後藤卓也のつぶやき > 受験が終わってから中学入学までの過ごし方

受験が終わってから中学入学までの過ごし方



入学前の課題、女子校はきめ細かく男子校は少なめの傾向

私たちの塾「啓明舎」の教え子たちは、すでに進学先の学校の集合日に足を運び、制服の採寸をして、教科書などをもらってきました。ちょっとほろ苦い入試結果だった子たちも、とっくにその学校の一員であるかのように、入学式(新型コロナウイルスの影響は心配ですが)を心待ちにしています。

その姿に目を細めながらも、4月を前に焦り始めている保護者の皆さんに向けて、今回は「受験が終わってから入学までの過ごし方」について取り上げてみます。

今年受験した塾の教え子約30人に、「入学までにどんな課題が出されたか」を聞いてみました。それを見ると、女子校は、教科ごとに細かな課題を出す学校が多く、「アルファベット+フォニックス(英語のつづりと発音の関係)」「計算問題中心の小冊子」「漢字検定」の3本柱に、「世界の国々(白地図)」「理科のリポート」が定番メニューです。

たとえば、単に課題を出すだけではなく、入学前の登校日を4日間設け、1日目から1時間半の英習字の指導を行う(光塩)。また、数学だけでB5ノート8冊、さらに理科は4分野ごとにB5ノート各1冊と実験用A4ノート1冊を用意させるというように、あらかじめ授業を受ける上での「おやくそく」をしっかり守らせる(品川女子)など、入学前にきめ細かくケアしてくれる学校は、保護者からすればとてもありがたい。

その対極にあるのが男子校。なかでも大学付属校に我が子を進学させたママたちからは、「課題はアルファベットを書くだけです」「『たくさん本を読もう』という呼びかけはあるけれど、感想文などの指示はまったくありません」「毎日遊びほうけていますが、大丈夫でしょうか」という悲鳴が聞こえてきます。

宿題の多さで定評のある巣鴨は、入学前の課題として、英語と代数のテキストでの予習(範囲は指定されているが、「代数は1冊全部やってもかまいません。けっこうやってくる子が多いです」とのこと)のほか、数学の入門書2冊と自由選択の図書1冊の感想文提出があります。他の男子校と比べるとハードですが、1日1時間も机に向かえばこなせる分量。ひと昔前よりはライトにしているのかも知れません。

他方で、「意外」というと失礼かも知れませんが、「自由放任」のイメージの強い獨協が「読書課題5冊。字数指定なしの感想文提出」「算数冊子52ページ」「英語20ページ+ラジオ基礎英語」「『私の住む町』の紹介。B4画用紙1枚。絵や写真も貼付。入学後、廊下に掲示」という充実のラインアップ。

入学前の課題の多寡はあくまでも学校の方針であり、課題が少ない学校は面倒見が悪いなどと決めつけるつもりはありませんが、ちゃんと調べて比較してみると、いろいろな発見があるものです。

「わくわく感」持って入学してほしいというメッセージ

「読書」は大半の学校に共通する課題ですが、感想文を提出させる学校が少ないのはうれしい驚きでした。

たとえば桐朋は「課題図書4冊(「数の悪魔――算数・数学が楽しくなる12夜」「世にも美しい数学入門」など)のうち1冊を読み、印象に残った箇所を書き出す」。佼成学園は「クラスメイトに向けて『オススメの本紹介』を作る。A4サイズ1枚で様式は自由。写真や図の使用も可。自由な発想で、見やすくわかりやすく作る」。東洋大京北も「オススメの本のPOP広告を作る」。

私は子供の頃から「読書感想文」が大嫌いで、毎年塾内で実施している「読書感想文コンクール」も個人的にボイコット。「だって堅苦しい感想文より、オススメ本紹介とかPOP作りのほうが、気楽に楽しく参加できるじゃん」と突っ張ってきたので、「我が意を得たり」という思いがしてうれしくなります。

読書以外の課題、たとえば理科のリポートも、「カイワレ大根の種子を配り、『研究』してみる」(品川女子)「科学館・博物館・プラネタリウムなどを訪れて内容をまとめる」(晃華)というように、いかにも「お勉強」ではなく、体験・探究型の課題がほとんどです。

アルファベットや計算や漢字などの基本は重視するけれど、何よりも、これからどんな勉強をするのかな、どんな仲間がいるのかなという「わくわく感」を持って入学してほしいという学校からのメッセージが込められているのでしょう。

気軽に取り組める課題を見つけて親子で楽しんで

入学前の課題で『私の住む町』紹介は、獨協や品川女子など複数の学校で見られますが、桐朋はちょっとひとひねり(?)して、「『私のお気に入りの場所』を文章と絵や写真で紹介する」というもの。入学後にこれをポスターに仕上げて学園祭で展示するそうです。

「ボクなら××島の海の見えるジャグジーだな。でも、塾通いばかりしていた小学生がどんな『お気に入りの場所』をもっているんだろう」と、このちょっとオシャレな課題に心ひかれ、桐朋の村野英治中学部長に電話をして、「いつ頃からこの課題を出しているのですか。これまでになにか面白い回答はありましたか」と質問してみました。すると、「いや~、課題は毎年変わるんですよね~」という拍子抜けの答えが返ってきましたが、きっと毎年、桐朋らしいユニークでオシャレな課題が出ているのだろうと思います。

最後にもう一つ。私が一番感心した課題を紹介します。それは世田谷学園の国語。「漢詩を読む」「短歌・短文を作る」という以前から続いている〝渋い〟課題の他に、「漢字を連れてどこまでも」(漢字を1文字連れて行くとしたらどの漢字を選ぶか。その理由は?)、「学校にあって家にないもの二つ。その理由は?」など「正解のない課題」がたくさん並んでいます。「対義語を身につける」というコーナーも、「善⇔悪」といった典型的なもの以外に、「ドラえもん⇔?」「タピオカ⇔?」といった不思議な問題もあります。

中学受験までの数年間、親への反抗や兄弟げんかに頭を悩ませ続けてきたママが、「『タピオカの対義語ってなんだろう。カオピタ?』『それ、意味が違うし…』と、息子といっしょに楽しんでいます」と笑顔で語るのを見て、これも学校からのメッセージなのかなと思いました。

「ウチの子の学校はなんにも課題が出なくて」とグチっていても仕方ありません。「A君の行く学校ではこんな宿題が出てるんだって。ウチでもやってみようか」と、これからの中高6年間への期待に胸を躍らせながら、親子で楽しみながら、気軽に取り組めるような課題に挑戦してみてはいかがでしょうか。
(中学受験サポート2020年3月)