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ホーム > 塾長 後藤卓也のつぶやき > 熱心な指導に感心

熱心な指導に感心



男子の進学校で、家庭科を本気で指導している学校はどのくらいあるのだろう。家庭科といっても内容は衣食住と多岐にわたる。裁縫や洗濯も大切だが、3年近く毎日息子の朝食を作った経験をもつ身としては、調理実習をきちんとやっている学校に肩入れしたくなる。
調べてみると、そもそも調理実習自体が存在せず、技術、家庭、情報を一科目としてくくり、ほとんど電子回路の作成や情報技術の指導をしている学校もあれば、家庭科の時間は学年の生徒全員を講堂に集めて講義をし、その間、生徒は居眠りかゲームという学校もあるようだ。
その点、先日訪問したA校の調理実習は素晴らしかった。3割程度が系列大学へ内部進学する共学校だから、男子進学校と比較するのは不公平だが、男女全員がアジ1尾を三枚におろして料理を作っていた。帰宅後は同居家族の人数分だけ同じ料理を作り(5人家族ならアジ5尾を三枚におろす)、完成した料理の写真と家族全員のコメントを添えたリポートを提出するのが宿題だという。
さすがにキャンパス内の竹林で筍(たけのこ)を収穫するところから始める筍ご飯の話には、環境の素晴らしさを羨むしかないが、私のような世代の田舎育ちには、A校のようなまっとうな学校が存在することが、とてもうれしい。
人工知能(AI)とロボットが世界を変えていく時代のグローバル・リーダーを目指す子供たちにとって、魚を三枚におろす技術はムダなのだろうか。そんなことより情報技術や電子回路、英会話の指導に時間を割くべきなのだろうか。
都心の男子進学校の中にも「より良い人生を歩むために」というスローガンのもと、熱心に家庭科指導を進めている学校もある。
それは学校の教育理念の違いであり、選択するのは受験生と保護者だ。ただ、包丁どころか缶切りすら使えない教え子をみていると、やはり「まっとうな学校」に一票を投じたくなる。
(日経新聞2018年7月)